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協同組合 東京帽子協会
Tokyo Hat Association







「東京の帽子百二十年史」

発刊に寄せて
協同組合 東京帽子協会

理事長 須貝享平

俳人中村草田男(ナカムラ クサタオ)に<振る雪や明治は遠くなりにけり>という俳句があります。昭和六年に発表された俳句です。昭和の初め、明治を思うものにとって明治という時代は遥か遠く隔たったように思えたのでしょう。平成という時代に生きる私たちにとって、明治・大正のみならず、昭和さえも遠く離れた過去の時代となってしまいました。

私たち帽子産業にたずさわる者にとって、遥かなる明治・大正・昭和の百二十年は、決しておろそかにできない先人たちの、苦闘、冒険、研究、挑戦、そして、栄光と挫折と再起の足跡が刻まれた長い道程でございます。

明治の文明開化によって、私たち日本人は帽子と出会いました。そのときから帽子とのかかわりを天職として生き抜いた先人たちが多数いらっしゃいます。営々として帽子ともに歩み続けた先人の足跡を記録し、歴史的真実として後世に残すことは、私たち後進の義務ではないかという会員各位の熱望により、ここに一冊の著書が生まれた次第でございます。まずは、「東京の帽子百二十年史」の誕生を会員各位とともに心から喜びたいと思います。

協会員の思いの中には、あまりにも帽子に関する歴史的資料が少ないという現実への不満と、危機的な意識もあったに違いありません。その思いに応えて、関係者一同、帽子の資料として後世に残せるものをという目的で編纂に取り組んだ次第です。

編纂委員は、原材料、製造、卸、小売りの各業界から一名ずつを選抜して四名の人に就任していただきました。いずれも業界人として経験豊富な体験の持ち主ばかりです。思い起こせば、編纂活動スタートさせたのは平成十四年八月であり、今日の発刊までに費やした月日は二年八ヵ月の長きにわたります。

「東京の帽子百二十年史」は歴史的記録というより、資料的価値に重点を置いて編纂いたしました。これから何十年か後、業界の後輩たちが、本書によって帽子業の歴史的真実にふれ、古きをたずねて新しきを知る「温故知新」のよすがとなっていただくならば、企画推進者の一人としてこの上ない喜びであります。

「東京の帽子百二十年史」の編纂に当たっては、多数の皆様のご協力をいただきました。 多忙にもかかわらず、取材に応じていただいた協会員や業界長老の各位、また多くの援助をいただいた東京都、台東区、業界関係団体、その他の公立・私立の各種団体や資料館・図書館、マスコミ各位の皆様には衷心より御礼申し上げます。また末尾ながら、「東京の帽子百二十年史」の編集・進行に際し、貴重なアドバイスをいただいた作家の菅野国春氏および株式会社冬至書房に対して謝意を表する次第です。


平成十七年二月吉日

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